2025年10月18日、19日公益社団法人兵庫県建築士会主催のつながろうin但馬に浜坂支部からは3名が参加し、但馬地域に点在する建築・文化施設を巡る充実した二日間となった。
2日間で6カ所を見学した。
本記事では、当日の3件目の見学地として訪れた、但馬を代表する木造建築
木の殿堂 についてレポートする。
■ 到着と同時に始まる「建築のレクチャー」
木の殿堂に到着後すぐ、館内ホールにて館長・池田氏より施設概要のプレゼンテーションが行われた。
設計思想から構造計画、材料選定、そして竣工後の維持管理に至るまで、建築関係者にとって示唆に富む内容であり、まさに“建築を読む”ための導入として理想的な時間であった。
その後は自由見学となり、参加者それぞれが空間のスケール感や構造のディテールを体感しながら、館内を巡った。
■ 木の殿堂|建築的基礎情報
-
所在地:兵庫県美方郡香美町村岡区
-
用途:木材文化・森林文化の普及拠点施設
-
構造:大断面集成材による木造架構
-
形式:円環平面を基調とした回廊型建築
-
竣工:1994年
-
特徴:
-
国内最大級の木造空間スケール
-
柱・梁を現しとした構造表現
-
採光・通風を意識したトップライト構成
-
■ 圧倒的なスケールを生む「木の構造美」
館内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは大断面の木柱と梁が織りなす立体的な架構である。
構造体は隠されることなく、むしろ空間の主役として前面に押し出されている。
柱は複数の集成材を組み合わせた角柱で、梁はそれを貫くように交差し、力の流れが視覚的に理解できる構成となっている。
これは単なる意匠ではなく、「木造でここまでできる」という技術的メッセージを空間そのもので語っているように感じられる。
■ 円環空間と「空を切り取る」トップライト
木の殿堂を象徴するもう一つの要素が、円環状の回廊空間と、その中央に設けられた大きな開口部である。
上部に向かって視線を導く構成は、まるで森の中で空を仰ぎ見るような感覚を与える。
このトップライトは、自然光を柔らかく取り入れるだけでなく、
「建築の内部と外部」「人と自然」を緩やかにつなぐ装置として機能している。
回廊を歩くことで、光の入り方、木材の表情、音の反響が刻々と変化し、
建築が静的な物体ではなく、体験として成立していることを強く実感する。
📸 写真:円環回廊とトップライト(館内回廊)
■ 木造建築の“到達点”としての木の殿堂
自由見学を終えて改めて感じたのは、木の殿堂が単なる展示施設ではなく、
**「木造建築そのものが展示物である」**という点である。
構造、素材、光、スケール、そして時間の経過による木材の風合い。
それらすべてが重なり合い、建築としての完成度を高めている。
木造建築に携わる建築士にとって、ここは
-
技術を学ぶ場所
-
発想を刺激される場所
-
木と向き合う姿勢を再確認する場所
そのすべてを兼ね備えた、極めて貴重な建築であると言えるだろう。

つづく

